ほっといてください、王子。

「安住ちゃんはほんとクールだよねぇ。」

「冷たいのはあなたじゃないの。」

拗ねたような私の言葉に、王子はクスッと意地悪く笑いながらこう言った。


「ほんと、分かってないよねぇ。僕は安住ちゃんの味方だよ。キミのことはいつもちゃんと見てる。…今だって時間が無いのにわざわざ会いに来てくれたことも知ってるんだから。」


「だから『つめたく』してあげたんだよ。」


「ほんとのキミは、クールなふりして甘えん坊で、テキパキと仕事をこなしているけど、結構ドジな所もあるんだよね…そうでしょ?もっと素の自分を見せて、みんなと打ち解けたらいいのに。」


隠していた気持ちを見透かされたようで、途端に恥ずかしさがこみあげる。


「うるさいわね、ほっといてよ。」


そう言って私は彼にくるりと背を向けた。


確かにその通りだったけど、間違っても『そうだね、ありがとう。』なんて言ってやらないんだから。
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