初心者オコトワリ!
執務室の一番奥で、“彼”は仕事を待っていた。
どこか取っつきにくく、近寄りがたい雰囲気の彼を前に、たいていの新人は後込みする。
しかも、彼に仕事を頼むのにはコツがある。
第一に、一度に沢山の仕事を任せてはいけない。
少し欲張って、多めの書類を彼の前に差し出せば、受け付けてすらもらえないのだ。
無理に彼に仕事を押しつければ、たちまち仕事は上手くいかなくなる。
第二に、彼に良い仕事をしてもらうためには、思いきった決断が必要だ。
その決断の為には、周到な準備が欠かせない。
彼の仕事を手伝うには、大胆さと繊細な仕事が要求されるのだ。
そんな気むずかしい彼の前に、私は書類の束を差し出した。
「また、お前か?」
「ええ、誰かさんが新人に優しくしない所為でね。」
「俺も別に虐めてるわけじゃないさ。奴らが勝手にビビってるだけだろ?」
そう言いながら、彼は差し出された書類の束を受け取った。