初心者オコトワリ!
ムキになるということは、それだけどこか後ろめたいことがあるからだ。
私自身が、頭では彼から離れなくてはと思いつつも、心では素直にそうできずにいた。
いつしか、彼との時間は私にとっても、大切なものになっていたのだ。

引っ込みがつかずに、ふくれっ面をしながらも、私は手を休めることはなかった。
彼もそれを的確に処理していく。
まさに、阿吽の呼吸だ。
それ故に、手を着け始めた急ぎの仕事は早々に片づいた。
私は自席に戻るため、立ち上がる。

「じゃあ、残りは明日、彼女にやってもらうから。」
「おい、ちょっと、待てよ。」

彼は私を引き留めるように、無言で困ったような視線を投げかけてくる。

そんな視線、ズルい。
私は立ち止まったまま、動くことができなかった。

「今日の夜、待ってるよ。」
「だから、もう私はやらないってば。」
「怒らせたなら、謝るよ。悪かった。」

思わずひるんだ私に、彼はとどめを刺すように、甘く囁いた。

「このオフィスで、俺にちゃんと仕事させられるのはお前だけだよ。」

その言葉に、すっかり気分を良くしている私は、自分でもあきれるくらい単純な女なのだろう。
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