仮氏
慌てて身支度をする。
こんなことなら、メイク道具をもっと持ってきておくべきだった。
そんな私の気持ちなんて御構い無しに彼はベッドに寝転びながら呑気にテレビを見ている。

「………てっきりこのまま帰るものだと思ってたから、きちんとメイクできなかった」

何か言われる前に自分から言い訳をした。

「大丈夫だよ、何したって可愛いんだから」

「テキトーだなぁ…」

「テキトーじゃないよ?かわいくなかったら可愛いとは言わない」

「はいはい……」

そんな私を見て彼は笑う。

「で、予定は?さっきも言ったけど、私は帰るものだと思っていたから何したいって聞かれても思い浮かばないからね」

「予定なんて考えてないよ!ただもう少し一緒にいたいだけ」

「よくもまぁそんなことサラッと言えるわね」

「まぁまぁ。とりあえずここ出よう」

私が荷物をまとめている間にまた彼はさっさとチェックアウトを済ませていた。
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