仮氏
目が覚めると目の前に彼の顔があった。

「…わっ!」

すっかり頭がすっきりした。

「おはよ!昨日はありがと、これかけてくれて」

「あ、うん…」

何を話したらいいかわからなくて、次の言葉が出てこない。

「…かわいい…」

彼はそう言って私を抱きしめた。
彼の体温が伝わってあったかい。
私もそっと彼の背中に腕を回した。
少しだけ彼の体がぴくっと動いた。


(あぁ……幸せかもしれない…)


彼の心臓の音を聴きながらそう思った。

「この後どうしようか?」

「…へ?」

「何その間抜けな返事」

この後って、普通に着替えてバイバイするものだと思っていた。
いつもがそうだったから、彼がこの後のことを口にするなんて考えてもいなかった。

「あ、もしかして予定ある?」

「ううん…ない」

「そっか!じゃまだ時間あるんだ」

「隼くんこそ…予定あるんじゃないの?」

「ないよ?知ってて聞いてる?」

「そんなわけ…」

それを聞いて少しだけホッとする私がいた。
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