仮氏
「ねぇ、ホテル代くらい私に払わせてよ」

「昨日も言ったでしょ、俺に付き合わせたんだから俺が払うんだって」

「でも…」

「莉音ってそういうとこ律儀だよな!普通ラッキーって思うじゃん」

「…どうでもいい相手ならね…」

無意識に出た言葉に思わず口をつぐむ。

「ん?それっていい意味で捉えていい?」

「し、知らない!」

「ふーん」

思わず早足になる私の手を掴むと指を絡める彼。

「なっ、なによこれ!」

「そんなに早く歩いたら転ぶよ?」

とわざと彼は言った。

「元カレとはこういうのしなかった?」

「あんまりしなかったかな…」

「ふーん」

「隼くんこそどうなのよ!」

「俺は、生活する時間帯が違ったから前の彼女とはまず一緒に出歩くことがなかったかな」

「…ふーん」

はぐらかされるかと思っていたから、割としっかり答えが返ってきて、それしか言えなかった。
本当はもっといろいろ聞きたい。
だけど聞けない。
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