仮氏
ゆらゆらと立ち上る煙をぼんやり眺めた。
普段はタバコの匂いなんて嫌いなのに、彼といるときはちっともそんなことを感じない。
タバコを消すとそのまま彼は私にキスをした。

「…タバコ味」

彼とするキスは甘いはずなのに味はちょっと苦くて、まるで私たちみたいだ。
せっかく一緒にいるのにそんなことを思って切なくなる。

「んー、悪ぃ…」

彼はそう言って私を抱き寄せる。
改めて近くで見ると、しっかり筋肉がついてるんだなーと再確認する。
私から見える彼の首筋がたまらなく色っぽくみえた。
私は無意識に彼の首筋にキスをしていた。

「うわっ…!びっくりした」

「ごめん!なんかついつい…」

彼の驚く声を聞いて、私もハッと我に返る。

「なになに?今日は積極的だね?」

「ち、違うわよ!なんかキレイだったから無意識にしちゃっただけ」

そう言って私は彼から離れた。

「離れんなって!」

すぐさま彼は私を引き寄せた。
そして少し強めに私を抱きしめる。
私も彼の背中に腕を回した。彼に抱きしめられるとすごく気持ちが良かった。
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