仮氏
「あ、そういえばこれ!」

思い出したように彼が見せてきたものは、ちょっと前に撮影したフリーペーパーだった。
パラパラと捲ると、お互いを見て笑い合ってる私たちの写真があった。

「…載ったんだ、これ…」

「みたいだよ!俺、友達から言われて知ったんだけどさ!自分の手元に置いときたかったからちょー探した」

「え!?友達?…大丈夫だったの?」

「何が?」

「私となんて映っちゃって…」

「ちょー羨ましがられたから自慢しといた」

「迷惑じゃないの?」

「迷惑だったらこんなことしてないし。……プレゼント、つけてくれてたんだね。部屋に運んだ時に気づいた。莉音のことだからつけないかなって思ってたから、すごく嬉しい」

いつもと少し違う彼の言葉に目頭がじわっと熱くなった。

「どうしてこんな時にそんなに優しい事言うの……?」

涙で詰まる声を振り絞って出したのに、可愛くない私はそんなことしか言えなかった。
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