仮氏
自分が良くないときって、それに覆いかぶさるように良くないことがやって来る。

「この計算、1桁ずれてるからやり直して」

「えぇーこんな量無理ですぅ」

「合コンやデートの話で盛り上がるのは構わないけど、与えられた仕事くらいしっかりやりなさいよ!」

我慢の限界が来て思わずキツイ言葉を後輩に浴びせかける。

「莉音先輩こわいー」

後輩は泣き出した。
泣きたいのはこっち。自分に任された仕事をしつつ、あんたたちの小さいミスをこっそり直して。
私、間違ったこと言ってる?
自分の仕事は責任持って最後までやるものじゃないの?
泣きたいのは私の方だ。泣いてそれでチャラになるなら私だって泣きたいよ。


「さっきの莉音先輩怖かったよねー」

「仕事できるのは認めるけど、そんなにあたしたち仕事に情熱かけてないし」

「ね、どうせ結婚したらやめるんだし」


給湯室で後輩たちがグチってるのが聞こえる。
私がおかしいのかと思う。
自分のために一生懸命仕事を頑張るのは悪いことなのか。
それとも、だからこの歳になっても私は1人だと言いたいのか。

頑張るって何だろう。
もう、何が正解で何が間違ってるのかすらわからない。
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