仮氏
くたくたになりながら、事務所を後にする。
今日は、体が疲れたというよりは気持ちが疲れた。
彼からは相変わらず連絡はこない。
その代わり若宮くんから、次はいつ空いてますか?攻撃が酷いけど。

もうこんな面倒な毎日なら何にも考えずにひっそりとこもっていたい。
キラキラした毎日も、全部いらない。





「元気にしてるー?」





いつも彼は突然だ。
電話の向こうの彼は、私と連絡しなくても相変わらず元気そう。




「………疲れた」





こんなこと彼に言ってどうなるんだろう。
どうにもならないのに。


「莉音今どこ?」

「もうすぐ駅」

「わかった、絶対動くなよ?」


ここで漫画や小説なら彼が王子様のように息を切らして登場するだろう。
でも、これは現実。
それに彼は王子様じゃない。
彼は私にとってなんなんだろう?
私は彼にとって…。セフレ候補かな。


「バカらし…、帰ろ。」

誰に話すわけでもないのに思わずそんな言葉が溢れた。
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