仮氏
「動くなって言ったろ、コラ」

私の目の前に現れた彼は息を切らした王子様ではなかったけど、ちゃんと来てくれた。

「…早いね」

「友達とメシ食ってた」

「…戻りなさいよ」

「いーのいーの」

「よくない」

「こっちが優先」


ふざけてて、いつも軽い彼なのに。
どうしてこんなこと言うの?
あなたにとって私はただのセフレ候補なのに。
私風に言ってしまうと、こんな奴の前でこんなところ見せたくない。
だけど目の前にいる彼は、優しい瞳で私を見ている。


「何があった?」

私は今日あったことと、私がおかしいのかということを彼に話した。

「んー。テキトーに仕事してる女の子の方が多いんじゃね?」

「隼くんに話したのが間違ってた」

「ちょっと待ってよ!」

「何よ」

「世の中の女の子は、男に引っ張ってもらってついてくー!って思ってるやつが多いと思う」

「だから私は1人なのはわかってるよ」

「違うって。俺は自力で俺についてきてくれる女の子が好き」

「はぁ?」

「…莉音みたいなね」

「…軽い」

「うっせーわ」

今まで連絡してこなかったくせに。
ふらっと突然現れたかと思ったら、こんなこと言わないでよ。
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