仮氏
いつも突然で、勝手で、生意気で軽いのに。
もしかしたら他にもフラフラしてるかもしれないのに。

「ニンニク臭くてもいい…」

今は彼といたい。
私は広げた腕の中にそっと飛び込んだ。
彼は頭を優しく撫でる。
あんなにイライラしてたのに、心がすーっと落ち着いていく。


「今日の莉音、どした?」

「うるさいなぁ!嫌ならさっきバイバイすればよかったじゃない」

「冗談!俺だって自分勝手だから、莉音のこと言えない」

そう言って彼は私をぎゅっと抱きしめた。
ずるい。そんな風に言われたら何も言えなくなる。

「こういうとこじゃなきゃ、イチャコラできないしね」

「…バカ」

「嫌?」

「そんなこと言ってない…」

フッと彼は笑って、私にキスをした。

「ちょっと、ここお店」

「誰もこねーよ」

本当は怒りたい。
こんなことしないでって。
だけど彼に会うと、彼に触れられるとそんなことどうでもよくなってしまう。
くちびるが離れると、私は彼にもたれかかった。
彼は嫌がることなくそんな私に腕を回してくれた。

こんな自分勝手な関係、決していいものではないってわかってる。
だけど、私に触れる彼の手があったかいうちはまだ終わりにしたくない、そう思ってしまった。
< 34 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop