仮氏
「イイ女がいると思ったら、莉音だった!」

駅でばったり会った彼は、いつか聞いたようなセリフをこぼした。

「調子いいね、相変わらず」

「冷たいね、相変わらず」

「うるさいなぁ」

「ひどくない?」

「あ、そうだった?ごめんなさいねー」

「偶然会ったのも運命かもよ?」

「はぁ?そんなものこの世の中にあるわけないじゃない。さっさと待ってる人のとこにいきなさいよ」

「他の女の子からこんなこと言われたら腹立つけど莉音に言われるのは悪くないねー!」

「ついにおかしくなった?」

「なってねーよ!ほら、こっち」

彼は強引に腕を引っ張る。

「ちょっと、どこに連れてくのよ!私は帰るの!」

路地裏に連れ込まれると、少し荒っぽくキスをされた。

「な…にすんのよっ!」

「キス」

「そういう意味じゃないんだけど」

「莉音、なんかあったのかなって」

やってることはめちゃくちゃなくせに、優しい目をして私を見る。
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