仮氏
「莉音はテキトーに座ってなよ」

彼はそう言うと部屋を物色し始めた。
私はそんな彼を見ながら、ベッドの端にちょこんと座った。

一通り部屋を見回した彼は、私の方向に向かって歩いてくる。

「どした?疲れた?」

彼の視線が私の視線とぶつかる。
目の前にある彼の顔。
私は何も言わずにキスをした。

「莉音からちゅーしてくれるなんて初めてだね」

「…いや?」

「嫌じゃないよ」

彼はにっこり笑うと私にキスをした。
私は、彼の首に腕を回した。
彼は、私をどんな風に想ってるかなんて知らない。
体目当てかもしれない。
そっちがそうなら、私はあなたの温もりが目的。
1回しちゃえば、もう次はないかもしれない。
でもちょうどいい。
お互いを知り過ぎたら、離れるのが辛くなる。
チョロい女だな、軽い女だな、彼はそう思ってるかもしれない。
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