仮氏
私は今、彼に言われた待ち合わせ場所に立っている。
いつものように突然に。
だけどこうやって会おうとしてくれることが、嬉しい。


目の前に車が停まる。彼だ。
私は助手席に乗った。

「お疲れ!」

「お疲れさま。相変わらず急ね」

「とりあえず車出すよー」

そう言って彼はハンドルを切った。
私は窓の外の流れる景色をぼんやり眺めていた。

「あ、それ飲んでいいよ」

ボトルホルダーにはミルクティーが置いてあった。

「ありがと。いただきます」

私はゆっくりそれを飲んだ。
信号待ちで車が止まると彼の視線を感じる。

「な、何?」

「んーん」

「あんまり見ないでよ、飲みづらいじゃない」

「莉音、ミルクティー好きだよね」

「うん、好きだよ」

「…うまい?」

「うん!飲む?」

と彼にミルクティーを差し出そうとした瞬間、キスをされた。
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