仮氏
突然の不意打ちに体が固まる。

「ん、甘い」

彼はそう言うと普通に運転し出した。

何だかドキドキして、何も返せない。

「莉音さ」

「な、何?」

「あーやっぱいいや」

「は?そこまで言ったら最後まで言いなさいよ」

「引かない?」

「保証はない」

「………」


彼が黙るから、私も何も言わずに黙った。
言いたいことがあるなら言えばいいのに。

また信号に引っかかる。

「あー!もう言うわ!!」

「うん」

「莉音とエッチしたい」

「ふーん。……ってはぁ?」

「はぁって。勇気出して言ったのに」

「他にいるでしょ、ヤッてくれるコ」

「いねーし」

「はいはい」

「てか、莉音がいいんだけど」

そういうことをポロっと言われると逆に私がドキッとする。
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