仮氏
唇を離してから目を開けると、彼は少しだけ驚いた表情をしていた。


「莉音からしてくるの、2回目だね」

「そう?」

「そう!ちゅーしてよって言ってもしてこないじゃん」

「そうだっけ?」

「そうだよ!」

とぼけたふりをして答えたけどそれは間違ってなんかいない。彼がそんな細かいことをいちいち覚えてるなんて思っていなかった。
私たちは曖昧な関係だから。

「もー1回して!」

「いや」

「なんだよー」

「なによ、不満?」

「不満なんかないよ!莉音とエッチもしたし、ちゅーもしてもらったし」

「じゃ、いいじゃない」

私は目を伏せた。

「うん、莉音がしてくれなくても俺からすればいいんだしね」

彼はそう言って私の顔を上げると、私がしたのとは違う深いキスをした。
唇を離そうとしても彼が離してくれない。
ようやく離れると、息をはぁっと吐いた。

「ねぇ、わざと?」

「何が?」

「そういう表情」

「わざとなわけないじゃない」

「素でやってるなら相当だな…」

「は?なんのこと」

私がそう答えると、彼は私の腕を掴んでベッドに押し付けた。

「そういうとこ、いちいち俺のこと刺激するんだよね」

彼の男な顔にゾクゾクした。
彼は私の胸にキスをする。


「ま、待って!もう1回は無理!!」

「俺は我慢すんの、無理」

彼は構わず続ける。
もう身体は疲れてるはずなのに、吐息が溢れる。

「気持ちい?」

「…っ…やっ」

「やじゃなくて気持ちいい?」

「ん、気持ちい…い」

彼の肌も、キスも、全部が私をだめにする。
だめな私は彼に身を委ねた。
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