仮氏
「松本さんごめん!非常に申し訳ないんだけど、一緒に出張に行ってもらえないかな?」

先生が慌てて事務所に戻ってきた。

「これからですか?」

「そうなんだ。ちょっとトラブってしまってね…」

「わかりました、大丈夫です」

「出る前に資料出しておいてもらえるかな?」

私は先生から渡されたファイルとパソコンを交互に見る。

(急いでこの資料を出して、帰って着替えを持って…間に合うかなぁ)

「悪いね、急ぎなもんですぐ書類なんかを出せるようにしたくて」

「大丈夫です」

私は急いで資料をプリントアウトして、自宅に出張の荷物をまとめに帰った。
ギリギリだけど、先生が指定した時間までには全て終わらせることができた。

「松本さん!申し訳ないね、タクシー駅前に待たせてるから行こうか」

「は、はいっ!」

私は先生の後に小走りでついて行った。
先生とタクシーに乗り込みロータリーをぐるっと回った交差点で、私は見つけてしまった。


ニコニコ笑う彼。
その隣には、彼と同じ年頃の女の子。

一瞬だったけど、私には全てがスローモーションのように目の前を流れて行ったのだった。
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