仮氏
私がそっけない返事をしたからか、あれからぱったりと彼から連絡が来なくなった。
そもそも毎日連絡をするような間柄ではないから、不思議ではないのだけど。

もし私のせいだったら悪いことをしてしまった。

あの時はごめんね、忙しかったの

そう私から連絡すればもしかしたら丸く収まるのかもしれない。
簡単なことなのになぜかそれができないでいた。


「松本さん、今日は暇ですか?」


回数は減ったものの、相変わらず若宮くんからのアタックは続いていた。
何がよくて私をこんなに誘うのだろう。

「暇じゃないわ」

「っ、そうですか」

暇だけどそう言って断ってばかりだった。
それなのに彼はめげずにまた私に声をかける。
まるで私の気持ちみたいだ。
伝わるはずがないとわかっていても、それでもやっぱり彼が好きだと思う。
客観的に見ると悲しいことだなって気がした。
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