仮氏
「今から会える?」
深夜に突然彼から電話がきた。
いつもと違ってなんだか元気がなさそうな声のような気がした。
「ん、大丈夫だよ。すっぴんだけど…」
「すっぴんとか気にしないし。近くのコンビニまで迎え行くね」
そう言うと電話は切れた。
もうすっかり寝るつもりでいたから、急いでパジャマを脱いだ。
いつもだったらもう寝るよ、って断るところだったけど、あんな彼の声を聞いたら顔を見るまでは心配だ。
小走りで言われた場所まで行くと彼はもう着いていた。
「ごめんね!待った?」
「今来たとこ」
「ん、そっか。ちょっと待ってて」
私はコンビニに入って飲み物を買った。
急いで彼の車に戻った。
「そんなに急がなくてもいいのに」
彼は私を見て言った。
「だってなんか元気なさそうだったから、電話の声」
そう言ってコーヒーを彼に渡した。
きっと何かあったんだろうけど、彼が話すまでは聞かないで黙っていた。