仮氏
彼は小さな溜め息をつくと、私の肩にもたれかかった。
私はそのまま何も言わなかった。

「今日さ…」

ようやく彼が口を開いてポツリと呟いた。

「うん?」

「ちょっと仕事でミスった。結構へこんだ」

「そっか」

私はそれ以上は聞かなかった。
チラッと横目で彼を見ると私の肩に頭を寄せたまま目をつぶっていた。
そんな彼がなんだか放っておけなくて、でも可愛くて、私は彼の頭を撫でた。


「はぁぁぁぁ。ダセー、俺。これぐらいでへこんで、こんなとこ莉音に見せて」

「そう?」

「ダサいっしょ」

「別にそんなこと思わないけど?」

「じゃ、もうちょっと甘えさせて」

そう言って彼は私にキスをした。
不意打ちだったから、びっくりしてなぜか顔が熱くなった。
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