仮氏
ぼんやりと目を開けると、彼の寝顔が目の前にあった。

(あ…あのまま寝ちゃったんだ…)

結局私たちはあれから眠ってしまったようだ。
気がつくと、しっかりと彼の腕は私のことを包んでいた。

(何時間もできないって言ってたくせに…)

ゆっくり彼の腕を解こうとすると、逆にぎゅっと引き寄せられた。

「…わっ」

びっくりして思わず声が出た。

「…いつの間にか目の前からいなくなるとかなしね」

眠たそうに彼は言った。

「…まさか。そんなことしないわよ」

「ん、ならいい」

なんとも言えない空気になる。

「…っていうか。おはよ」

「お、おはよ」

「莉音と一緒の朝とか、なんか不思議」

「そ、そうだね」

「前は起きたらいなかったから!」

笑いながら彼は言った。

「もう!あの時と今は違うじゃない!」

体を起こして彼を見下ろす。

「莉音、いろいろ見えてるけどいいの?」

彼に言われてハッとする。
そういえば裸のままだった。
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