史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
霧島さんはまるで他人事のように、淡々と過去を語った。



ーー英語の授業中だったんだけどさ、何度も何度もカバンの中で携帯のバイブが鳴っててさ。 嫌な予感はあったんだけど、さすがに出るわけにもいかなくて黙ってたんだ。
そのうち周りの奴も教師も俺の携帯だって気づいて、急用かも知れないから出ていいって言われて。


病院からだった。


母親が歩道橋から飛び降りて、トラックに轢かれたって連絡だった。

病院に運ばれた時点で、もう死んでた。


俺の父親は結構でかい病院の院長で、母親はその愛人だったんだ。
金には困ってなかったし、母親なりに自分の人生に納得してるんだと思ってたんだけどな・・・


母親は俺を溺愛してて、正直鬱陶しいくらいだったんだ。

いつまで依存されるんだろうって怖くもあった。


けど、実際には俺の存在なんて生きてく理由にならなかったんだよなぁ。


愛されてるって信じてた自分が滑稽で、
病院で母親に対面しても涙も出なかった。


ある種のトラウマなのかな?

それ以来・・

俺は、俺を好きな女をどうしても好きになれないんだよ。
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