七色の空
「理由2.線香花火」
夜の井の頭公園。遊具などがあるちょっとした広場で林檎が花火をしている。ブランコを微かにこぎながら、福生が林檎をビデオカメラで撮っている。ディスプレイに映る林檎がブランコに合わせて微かに揺れている。
林檎は、消えて残煙をあげる花火をくわえ、煙草を吸う仕草をしてみせる。二人が笑うと、ひと気のない井の頭公園も微かに揺れる。いったいどれだけの夏虫達が二人の様子を眺めているのだろう。二人は、いつも一緒にいるときより少し言葉少な目に、花火と虫の音を楽しむ。
線香花火の光が消え、ビデオカメラのディスプレイに映る林檎が一瞬暗闇に吸い込まれる。
福生「どぉしてあの日、自殺なんてしようと思ったの?」
長い二人の沈黙を、虫の音が埋める。
林檎「本当はずっとそのこと聞きたかったでしょ?」福生「うん」
林檎「どして自殺なんてしようと思ったのか…福生に出会って、思いつめてたことが全部楽勝で吹っ飛んじゃって」
ディスプレイにほのかに映る林檎は満面の笑みを浮かべている。
林檎「本当に思い出せないんだよ」
福生「…」
林檎「福生が私を助けてくれた日も、聞いてはこなかったじゃん」
福生は小さくうなずく。林檎「すごい人だと思った、泳げないのに川に飛込むしさ(笑)」
福生「バカなんだよ、超がつくほどね(笑)」
虫の音が少し騒がしくなった。虫達が二人を祝福している。
夜の井の頭公園。遊具などがあるちょっとした広場で林檎が花火をしている。ブランコを微かにこぎながら、福生が林檎をビデオカメラで撮っている。ディスプレイに映る林檎がブランコに合わせて微かに揺れている。
林檎は、消えて残煙をあげる花火をくわえ、煙草を吸う仕草をしてみせる。二人が笑うと、ひと気のない井の頭公園も微かに揺れる。いったいどれだけの夏虫達が二人の様子を眺めているのだろう。二人は、いつも一緒にいるときより少し言葉少な目に、花火と虫の音を楽しむ。
線香花火の光が消え、ビデオカメラのディスプレイに映る林檎が一瞬暗闇に吸い込まれる。
福生「どぉしてあの日、自殺なんてしようと思ったの?」
長い二人の沈黙を、虫の音が埋める。
林檎「本当はずっとそのこと聞きたかったでしょ?」福生「うん」
林檎「どして自殺なんてしようと思ったのか…福生に出会って、思いつめてたことが全部楽勝で吹っ飛んじゃって」
ディスプレイにほのかに映る林檎は満面の笑みを浮かべている。
林檎「本当に思い出せないんだよ」
福生「…」
林檎「福生が私を助けてくれた日も、聞いてはこなかったじゃん」
福生は小さくうなずく。林檎「すごい人だと思った、泳げないのに川に飛込むしさ(笑)」
福生「バカなんだよ、超がつくほどね(笑)」
虫の音が少し騒がしくなった。虫達が二人を祝福している。