七色の空
チャプター38
 「素晴らしい世界」
ヒッパレー♪ヒッパレー♪金玉ヒッパレー♪
ヒッパレー♪ヒッパレー♪チン皮ヒッパレー♪
作者・作曲 立川 福生。ただのヒットパレードのメインテーマをパクっているだけである。この自分で歌詞をつけた替歌が福生は大好きだ。
福生は下半身に感覚がないので、いくら金玉を伸ばしても痛くない。チン皮を引っ張っても痛くない。自虐の歌だ。
林檎のAV作品は3作目を迎えていた。デビュー作の監督と意気投合した福生はまた脚本を依頼されることになる。3作目はストーリー仕立ての内容で、設定は女教師!クラスに一人だけいる障害者の生徒を林檎先生が誘惑する。障害者の生徒は下半身麻痺の設定だが、演じる男優のアソコはビン×2で、3幕構成で本番3回と充実した中身に仕上がっている。内容を下半身麻痺の障害者の方が観れば、抗議の電話が鳴り止まないような内容であったが、 書いた当の本人が、下半身麻痺の障害者である。
福生は障害に不便は感じていたが、不幸を感じることは己に許さず生きている。世の中の障害者に対する慈悲の念など求めていない。
福生がいて林檎がいる。右手があって左手がある。健全者がいて障害者がいるのである。あまりにも当たり前で、ありきたりなこと。
 福生はコンビニで障害者がエロ本を立ち読みしている光景が好きだった。風俗店から障害者が出てくる光景が好きだった。それが、自分の劣等感を少し否定してくれるような気がしたから。
福生は劣等感は認めている。劣者は劣等感をいだくもの、不幸ではない。
林檎と過ごす時間の中にもそれは存在し、自分が林檎にふさわしくないことを正確に受け入れる。
福生は劣等感のない世界など、これっぽっちも素敵でないことを知っている。劣等感のない世界とは、悩みのない日常と同じ、ルールのないチェスをするようなものである。
福生は林檎に幸せでいてほしい。心穏やかに過ごしてほしい。代償を求めた事など一度もない。いつ二人の関係が終ろうと、林檎が生きているならそれでよかった。
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