七色の空
チャプター50
「スタンドバイミー」
日を追うごとに福生が衰えて行くのが、林檎には分かった。最近ではセックスの後、気付けば、福生は疲れて眠り込んでしまっている。最近ではペニバンを遣うものだから、ピンクのペニバンを着けたまま眠っている福生の姿は滑稽だ。
福生の描いた脚本も、あと撮影スケジュール2日間を残すまでになっていた。撮影が終われば編集が待っている。編集作業には、福生も積極的に参加する意向を製作者サイドに伝えていた。福生が指示を出せる訳ではなかったが、室内作業ということもあり、自分の脚本がどのようにフィルムに撮られ、どのように編集されるのか、自分の眼に焼き付けておきたいと願ったのだ。
林檎は福生の体調を察しながら日々の生活を組み立てる。以前の様に無理を言わなくなっていた。本当は二人で外に出かけたい。夜通し遊びたい。 除々に回数の増えていく通院が二人から時間を奪い、林檎の大事な人を弱らせていく。
福生は林檎の前では気丈に振る舞うよう努力しているつもりだった。自分では己の衰弱は分からない。以前より弱った福生が笑うと、林檎は胸を絞めつけられた。以前の林檎であれば、他人が死にゆく過程を一番近くで見守るなどということは、面倒極まりない。しかし、今は側にいたいと思える。そぉ思える人が側にいる。
チャプター51「これから」
福生には家族がいない。通院で医療費が重めば当然ながら事故負担となる。医療保険には加入していなかった。国から支給される僅かな給付金の貯金は瞬く間に底をつく。シナリオコンクールで得た賞金は、できるだけ林檎に残したいと思っていた。その金と引き替えに、自分が死ぬまでの間の面倒とその後の後片付けを承諾して欲しかった。福生が林檎にできることは、賞金をなるべく多く与えてやることぐらいだと…福生は、自分が林檎にとって賭けがえのない存在だとは思っていない。そんな自信や確信は、安っぽいセンチメンタルだと決めていた。
この先短い命の為に、通院で大事な金を浪費することを福生はやめる。自宅療養の体は、科学薬品で誤魔化していた苦痛を呼びお越し、福生を苦しめることもあったが、人間として生まれてきたなら仕様がないと甘んじて受け入れた。
福生の映画がもう少しで出来上がる。映画が福生の心を支配しようとしている。
「スタンドバイミー」
日を追うごとに福生が衰えて行くのが、林檎には分かった。最近ではセックスの後、気付けば、福生は疲れて眠り込んでしまっている。最近ではペニバンを遣うものだから、ピンクのペニバンを着けたまま眠っている福生の姿は滑稽だ。
福生の描いた脚本も、あと撮影スケジュール2日間を残すまでになっていた。撮影が終われば編集が待っている。編集作業には、福生も積極的に参加する意向を製作者サイドに伝えていた。福生が指示を出せる訳ではなかったが、室内作業ということもあり、自分の脚本がどのようにフィルムに撮られ、どのように編集されるのか、自分の眼に焼き付けておきたいと願ったのだ。
林檎は福生の体調を察しながら日々の生活を組み立てる。以前の様に無理を言わなくなっていた。本当は二人で外に出かけたい。夜通し遊びたい。 除々に回数の増えていく通院が二人から時間を奪い、林檎の大事な人を弱らせていく。
福生は林檎の前では気丈に振る舞うよう努力しているつもりだった。自分では己の衰弱は分からない。以前より弱った福生が笑うと、林檎は胸を絞めつけられた。以前の林檎であれば、他人が死にゆく過程を一番近くで見守るなどということは、面倒極まりない。しかし、今は側にいたいと思える。そぉ思える人が側にいる。
チャプター51「これから」
福生には家族がいない。通院で医療費が重めば当然ながら事故負担となる。医療保険には加入していなかった。国から支給される僅かな給付金の貯金は瞬く間に底をつく。シナリオコンクールで得た賞金は、できるだけ林檎に残したいと思っていた。その金と引き替えに、自分が死ぬまでの間の面倒とその後の後片付けを承諾して欲しかった。福生が林檎にできることは、賞金をなるべく多く与えてやることぐらいだと…福生は、自分が林檎にとって賭けがえのない存在だとは思っていない。そんな自信や確信は、安っぽいセンチメンタルだと決めていた。
この先短い命の為に、通院で大事な金を浪費することを福生はやめる。自宅療養の体は、科学薬品で誤魔化していた苦痛を呼びお越し、福生を苦しめることもあったが、人間として生まれてきたなら仕様がないと甘んじて受け入れた。
福生の映画がもう少しで出来上がる。映画が福生の心を支配しようとしている。