七色の空
福生が映写室から出てきた。林檎は立ち上がり、福生にかけ寄る。振り向き様、
林檎「お母さん、」
オバサンが林檎を見て微笑む。
林檎「お幸せに(笑)」
オバサンはニッコリ笑うと、深く頭を下げる。 帰り道、部屋につくまでの間、林檎はずっと左手を福生のズボンのポケットに入れていた。下ネタではない。林檎の薬指に指輪がまだなかったからだ。
チャプター53
「ものおもふ植物」
林檎は福生と一緒にペアリングを買いに出掛ける。アクセサリー業界の思う壺である。世の中の恋人達は二人の絆をリングに託したいのだ。林檎も同じである。あんなもので愛を繋ぎ止めようなどという考えに及ぶ時点で、二人の関係は先が見えている。
まぁそういった説教じみた意見は別として、事実、林檎と福生の関係は、作者が気まぐれサラダ的に物語を展開させない限りは、あと数ヶ月で確実におわる。 主治医の言葉にもあったように、福生が助かる可能性は、今の医学をもってしても、微塵もない。
遂に、主治医の判断で福生は入院を余儀なくされることとなる。編集作業中に意識を失い、そのまま救急車で病院に担ぎ込まれた。二度めの搬送である。
あとは病院で映画の完成を見守るしかないところまで容態が悪化した。気持ちがそれを拒否しても、体が言うことを聞かなければ植物と同じである。もはや福生は動物ではなくなってしまった。 このモノ想ふ植物は、このあと、病院関係者を巻き込んで、とんでもないことをしでかすのである。
二人で買ったペアリングが、衰弱し痩せ干そっていく福生の薬指から、滑り落ちそうになっていた。
林檎「お母さん、」
オバサンが林檎を見て微笑む。
林檎「お幸せに(笑)」
オバサンはニッコリ笑うと、深く頭を下げる。 帰り道、部屋につくまでの間、林檎はずっと左手を福生のズボンのポケットに入れていた。下ネタではない。林檎の薬指に指輪がまだなかったからだ。
チャプター53
「ものおもふ植物」
林檎は福生と一緒にペアリングを買いに出掛ける。アクセサリー業界の思う壺である。世の中の恋人達は二人の絆をリングに託したいのだ。林檎も同じである。あんなもので愛を繋ぎ止めようなどという考えに及ぶ時点で、二人の関係は先が見えている。
まぁそういった説教じみた意見は別として、事実、林檎と福生の関係は、作者が気まぐれサラダ的に物語を展開させない限りは、あと数ヶ月で確実におわる。 主治医の言葉にもあったように、福生が助かる可能性は、今の医学をもってしても、微塵もない。
遂に、主治医の判断で福生は入院を余儀なくされることとなる。編集作業中に意識を失い、そのまま救急車で病院に担ぎ込まれた。二度めの搬送である。
あとは病院で映画の完成を見守るしかないところまで容態が悪化した。気持ちがそれを拒否しても、体が言うことを聞かなければ植物と同じである。もはや福生は動物ではなくなってしまった。 このモノ想ふ植物は、このあと、病院関係者を巻き込んで、とんでもないことをしでかすのである。
二人で買ったペアリングが、衰弱し痩せ干そっていく福生の薬指から、滑り落ちそうになっていた。