七色の空
奥から支店長が顔をだす。林檎を見た支店長の瞳孔が開く。
林檎「あーッ」
その支店長は、過去に林檎が援助交際でお世話になった男の内の一人だった。
 支店長的に洒落にならない。ここで、林檎の要求を断わろうものなら、間違いなく明日から自分のアダ名が「サポ山 サポる」になる。
支店長「大変ご迷惑おかけしているようで申し訳ございません。緊急のご事情で契約者様の代理で料金お支払いの為、ごそくろう頂いたということでございますね。かしこまりました、早急にお手配いたしますので今しばらくお待ち下さいませ」
林檎「…ありがと」
支店長の額は汗ばみ、データを入力する指が震えている。
手続きが終わり、支店長は深々と林檎にこぅ言って頭を下げる。
支店長「立川様の料金のお支払い、担当の里山さとるが確かに承りました。ありがとうございました」
支店長が受付の手続きを自ら処理したのは、実に20年振りのことだった。
 里山さとる支店長、定年を1年と半年後に控えた夏の出来事である。
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