七色の空
声はどこかで聞いた覚えのある女性の声だ。
林檎「どちら様ですか?」?「私、映画スタジオの用務員の者なんですが」
林檎「?」
?「立川さんのお知り合いの方でいらっしゃいますか?」
林檎「おかあさん!」
?「?」
林檎「こないだ休憩所でお話しした者です!金髪で、ひとりで煙草いながら立川を待ってた」
おばさん「ああの時の女優さんですね」
林檎「女優じゃないですって(笑)何で立川の携帯から架けてこられてるんですか?」
おばさん「立川さんこないだスタジオで倒れられたみたいでね」
林檎「ええ、そぉなんですよ」
おばさん「その時、携帯をスタジオの中で落とされたみたいなんですよ」
林檎「そぉだったんですか」
おばさん「私は立川さん、よく存じあげてるんですが、拾ったのが主人で、ずっと落し物を保管しておく棚に置きっ放しにしてたみたいでね、気が利かなくてごめんなさいね」
林檎「いえ、とんでもないです。おかあさんが謝らないで」
おばさん「作家の方が携帯ないんじゃ大変お困りだと思って、一番電話架けてらっしゃる方にかけてみたんですよ」
林檎「そぉでしたか、今度わたしスタジオに取りに行きます。わざわざありがとうございます」
おばさん「立川さんお体の具合どうですか?」
林檎「立川なら元気にしてます。また伺いますので安心して下さい」
おばさん「それは何よりです。では仕事中ですので失礼しますね」
林檎「おかあさん」
おばさん「はい」
林檎「また立川と一緒に顔出しますね」
おばさん「楽しみにしてます(笑)」
林檎「じゃ失礼します(笑)」
おばさん「ごめんください」
林檎「…」
 林檎は少し目を閉じる。乾燥機は、一定の間隔で繰り返し単調な音を奏でる。林檎は一日動き回り疲れていた。そのまま眠ってしまう…。
…次に林檎が目覚めると、目の前には、林檎に微笑みかける男が立っている。
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