幼馴染みの期限
***

「あ……雪だ」


玄関から外へ一歩出ると、冬の凛とした空気が肌を刺した。


夕方からちらちらと舞うように降っていた雪は道路へと降り積もり、今は辺りの景色も真っ白に変わっていた。


このまま、雪かきが必要なくらい積もんなきゃいいけど……明日の出勤が早くなるのは、嫌だなぁ。


ぼんやりとそう考えて……今考える事でも無かったか、と思ってため息を吐く。


吐いた息はゆらゆらと暗闇に流れて、あっという間に白く染まっていった。


視界全てが白く染まるほどの勢いのため息が出た事に驚いた私は、今度は"苦笑い"という名前の白い息を唇から吐き出した。



……ほんと、ため息だって溢れるし、苦笑いだってしたくなる。


だって、『本人にぶつけて来なさい』なんて言われて追い出されてしまったけど、私には行くあてなんてない。


どこにいるか分からないし、家にいるかどうかも分からないんだから。


……もし、家に帰って無くて、私がじっと帰りを待っていたとして……広海が朝に帰って来たりしたら……それはそれで、キツイ。



たった一日。


幼馴染みを止めて、まだ一日だ。


それなのに、無条件に側に居てもらえた日々が、もう涙が出そうなくらいに懐かしい。


広海の存在が私にとってどれだけ大きかったのか……今ごろになって気がつくなんて、なんて私はバカなんだろう。

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