幼馴染みの期限

「一昨日、向井くんに好きだって言ってもらえて嬉しかった。……私も、ずっと向井くんの事が忘れられなかったから」



ーー初恋だった。何よりも大切な想いだった。



「毎朝『おはよう』って挨拶する時も、ちょっとした会話も、委員の仕事を手伝ってもらった時も……胸が痛いくらいにドキドキして……でも、凄くしあわせだった」


ーーだけど、想いは伝えられなかった。



「お互いに気持ちを確かめ合わないまま、あんな事になって……伝えられなかった後悔だけが残った。だから、向井くんの言葉も、気持ちも全部嬉しかった」



一昨日、向井くんの想いを聞いた時、真っ先に出てきたのは嬉しいという気持ちだった。



10年前からずっと心の中に閉じ込めてきた私の想いまで、全部報われたような気がした。



……だけど、10年前に私に向けられていた気持ちは嬉しいと思ったけれど、告白自体に心は動かなかった。戸惑う気持ちの方が大きかった。



どうして、あの時戸惑って、すぐに彼の気持ちに応えられなかったのか……今の私には、分かる。



「……でも、もう私はあの時の気持ちには戻れない」


……本当は、向井くんも分かってるんだよね?


「私達の恋は、10年前のあの時に終わってしまったから」


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