幼馴染みの期限



「…………おかえり」



そして、胸元から聞こえてきた声に、今度こそ本当に心臓が止まってしまうかと思った。


……広海も、私の事を待ってくれて……たの?


そう思うと嬉しくて……でも、じゃあ何で帰る時何も声を掛けてくれなかったの?なんて思う気持ちとか……だけど、約束なんてしていなかったのに家で待っていてくれた事とか、さっきまでの向井くんとの会話とか、才加への嫉妬とか、広海へ伝えたい想いとかが……


とにかく、広海の「おかえり」の一言で、嬉しい気持ちとか、大切だと想う気持ちとか、大切だけど嫉妬したり、悲しかったり寂しかったりする気持ちの全てが波のようにぐわっと一気に胸の中に押し寄せてきて、その何とも言い表せない爆発的な感情の渦の中に、私の心はあっけなく飲み込まれてしまった。



目の前の景色があっという間にぼやけていく。



ポロッと瞳から涙が溢れ落ちた瞬間……


私の心臓は、また違う意味で止まりそうになる。



「………………へった?」




ーー はぁ??

また胸元から聞こえた、くぐもった広海の声。
あまりに意味不明で、頭の中が真っ白になった。



『へった』?

『へった』って、何が?


……もしかして、『腹が』『減った』?……かな。


待ちくたびれたから?


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