幼馴染みの期限

……違う。


だって『へった』『?』って、疑問系だった。


私に……聞いてるんだよね?


『へった』は、『減った』……かなぁ?


いや、待って。


『減った?』って……まさか……



ああああああっ!!


その言葉の意味を理解した瞬間、私は思わず目の前にあった広海のつむじめがけて、思いっきりげんこつを振り下ろしてしまっていた。



「…………痛っ……てぇぇぇ!!」


口は悪いけど、めったに声を張り上げない広海が本気の叫び声を上げた。



……そりゃ痛いよね。


本気で殴ったもん。


でもね、今私の心だっておんなじように広海にボコボコに殴られた気分なんだから。



「痛ぇ!何だ?!……って、樹里!?」



……ほらね。やっぱりそうだ。広海は今の状況を全く分かってない。


ベッドの上で自分から私に抱きついているようなこの状況に、驚いたような信じられないような呆然とした表情で、私の顔を見つめている。



……つまりそれは、今まで広海は寝ぼけてたんだって事。


つまり、つまり、抱きついたのも「おかえり」って言ってくれたのも、たぶん私にじゃなくて……夢の中で一緒にいる人にしたつもりだったんだって事で。



つまり、つまり、つまり……



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