幼馴染みの期限
「向井の事は、後悔する気持ちがあるなら二人で話をしたほうがいいとは思ってた。……だけど、俺が話をさせたくなかった」


「また樹里を泣かせたくなかったんだ。お前は数えきれないくらいに"失恋"してきたけど……あんなに……心が壊れそうなくらいに泣いたのは、あの時だけだったから」


「……向井との恋は、俺が無理やり終わらせたようなもんだ。二人の噂を肯定も否定もさせないで、話し合いができないようにした。……それは俺が二人を離したくて、わざとそうしたんだ」



ーー 軽蔑するか?



そう言われて、すぐに首を横に振った。


広海が私と向井くんを離そうとしたとしても、向井くんと向き合わない事を選んだのは私だ。軽蔑なんてしない。する訳がない。


私の反応を見て、広海は安心したようにフッと表情を緩めた。


「今になって向井が現れたって知った時……バチが当たったんだと思った。今日だって向井を見かけて、樹里を待ってるんだって気がついたけど……俺に止める権利は無いって思った。だから、黙って帰ったんだ」


「……樹里が帰って来るまでずっと起きて待ってるつもりだった。だけど、一昨日からろくに寝てなかったから、気がついたら意識が途切れてた。……だから、寝ぼけてたけど、本当に俺が待ってたのはお前だから。まさかこんなに早く帰って来るとは思ってなかったし、俺の所に来てくれるとは思ってなかったから……驚いたけどな」






「お帰り。樹里」




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