幼馴染みの期限
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初めて触れたはずのその唇は、なぜかとても懐かしい感触がした。
10年前、病室で聞こえた広海の声。
『もう守り方を間違えないから』
そして、唇に感じた柔らかな温もり。
『もう離れない……俺は、樹里の側にいたい』
『樹理……好きだ』
握られた手の温かさも、優しい声も、キスの感触も、全部覚えてる。
……ずっと、ずっと、広海は私を想い続けてくれていたんだ。
10年分の広海の想いが胸の奥深くにストンと落ちて、甘い感情に変わって心の隅々までゆっくりと広がっていく。
その柔らかな熱を感じたのは、10年という長い歳月からしたらほんの一瞬の出来事だったけれど、心が溺れるには十分な時間だった。
私は瞬きをする事もできずに、ただひたすら唇から伝わる甘い熱に溶かされた。
「……ふぇっ」
暫くして、解放された唇から思わず間の抜けた声が出る。
「何だよ『ふぇ』って、色気ねぇな」
そう言って、広海はフッと唇の端を上げて笑った。