幼馴染みの期限

「目も開きっぱなしだし。ちゃんと閉じろよ」


キスの熱に溶かされてぼんやりとした頭の中に、広海の声が流れ込んでくる。



……だって。


そのキュッと上がった紅くて艶のある唇も、近づいてきた時の熱っぽい視線も、キスした瞬間に伏せられた長い睫毛も、全部、全部……


瞬きを忘れるほどに綺麗で、見とれて、見つめていたくて、キスしてるのに間抜けな声を出しちゃう私なんかよりよっぽど色気があって……その全てを()に焼き付けておきたかったんだ。



……私、愛されてる。



色気も胸も無くても、キスされても目を見開いているような女でも、ちゃんと愛してくれてるって分かるんだ。


その証拠に口だけは『色気ねぇな』ってバカにしたように言ってるけど、今私を見つめる目はとても優しくて、甘くて、頭のてっぺんから湯気が出ちゃいそうな程真っ赤になっている私を落ち着かせるように、大きな手はゆっくりと頭を撫でてくれている。


広海が、甘い。


幼馴染みの関係の中で隠していた愛情を、今は全部見せてくれてるんだって思うと、なんだか心がふわふわして、くすぐったくって、恥ずかしい。



でも、どうしようもなく嬉しいんだ。


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