幼馴染みの期限
「……んだよ。いきなり入って来んなよ。俺がお取り込み中だったらどーすんの?」
そう言いながら面倒くさそうに広海が顔を上げた……けど、手にはスマホを持っていて、視線はがっつりスマホに向けている。どうやらゲームのお取り込み中のようだ。
「はぁ?何言ってんの?広海に何の取り込みがあるのよ。ただゲームしてるだけじゃん」
「男が自分の部屋でするお取り込みっつったら、アレしかねーだろ。……ま、カギは閉めてからやるけどな」
「……全然意味分かんない。それよりも広海、あんたおかーさんに余計なこと喋ったでしょ?」
「里子かーさんに?別に余計なことは言ってない。懲りずにまた失恋したとか、モテまくりたいって夜中に騒いで近所迷惑だったとか、彼氏を探しに同じくモテない婚カツ中の先輩と一緒に街コン行ったとか、それぐらい……」
「それが余計なコトだって言ってんの!!!!」
何が『それぐらい』よっ!友達か!ってぐらいに全部話してるしっ!!
怒りに任せて広海の手からスマホを取り上げる。
「あっ、バカ。止めろよ。俺の狩りを邪魔すんな」
「るさいっ!話を聞けっ!」
「返せ。今大事なトコなんだよ」
「ゲームなんかいつでも出来るでしょ!!」
ギャーギャーと広海に文句を言いながら、ベッドの上でスマホの奪い合いをしているうちに、ベッドの端まで身体が移動してしまっていることに気がつかなかった。
あっ、と思った瞬間にはもう遅く、ぐらりとバランスを崩した身体がベッドから落ちていくのが分かった。