幼馴染みの期限

「最初は……友達としてこうして会ってくれるだけでもいい。でも、少しずつでいいから、俺と付き合うことを考えてくれないかな?」


向井くんの真剣な告白も、まるで遠くで聞いているように頭の中はぼんやりとしていた。


……どうしてだろう。真っ直ぐな気持ちで彼の言葉を受けとめられない。


これは散々失恋してきた私には考えられないくらいの大きなチャンスでしょう?



『はい』



そう言って笑顔で頷けばいいだけなのに……



私は何を迷っているんだろう。



***


「また連絡するね」


送るよと言ってくれたけどそれを断って、待ち合わせたコンビニで降ろしてもらった。


「うん。……またね」


『またね』


口に出してしまった言葉は消せない。


またねと言ってしまった事で、向井くんと私は恋人前提の友達という関係になった。



何となく家に帰る気にはなれなくて、そのままアーケードの中へと足を進めた。



明日は日曜日。


少しだけ飲んで、酔って、眠って、休んで、気持ちを切り替えよう。


今までこんな風に真っ直ぐ気持ちを伝えてくれた人はいなかったから、動揺しているだけなのかもしれないんだから。


明日になったらあっさり向井くんと付き合いたい、なんて思っちゃったりして。

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