不器用な彼が隠した2文字
「久しぶり、有紗」
懐かしいその声は、私の名前を呼んだ。
「え、有紗知り合い!?」
「どういう関係!?」
ザワザワとする教室。
そのまま私の隣を通り過ぎて、席に着く彼。
そう、彼は、私の元カレだ。
中学が同じだった紫乃も、驚いた顔で春希を見ている。
首元につけた、彼に貰ったネックレスを無意識に触る。
黒かった髪は明るくなって。
私より少し高いくらいだった背は、私よりずっと大きくなって。
大人っぽくなっても、優しい笑顔はそのままだ。