不器用な彼が隠した2文字



と、歩き始めた朝比奈先輩。



「…じゃあ、デートでもする?」





ふっと見せる大人の笑み。

たった1歳しか違わないのに余裕な朝比奈先輩が、悔しい。



「…行く」



まだ拗ねたまま言った私の機嫌も、さりげなく繋いでくれた手のおかげですぐに直った。





「どこ行きたい?」


「えっ、えーと…」




そんなに急に言われてもすぐ思いつかない!

ていうか、行きたいところがたくさんありすぎて絞れない!




「時間切れ。

俺が決めるから」



今日の朝比奈先輩はなんだか意地悪だ。


…そんなところも好きだなんて、私もきっと重症だけど。





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