フテキな片想い


私はこくんと頷いた。


「児玉って、カノジョいるのかな?」


「いないと思う。少なくても、高校入ってからは、女の子を家に連れて来た事ないし……」


そう言えば、真央って好きな子いるのかな?私ってば、自分の恋愛相談ばっかり真央にして、真央のことは何も知らないや。


初恋だって、過去のカノジョの事だって、ずっとこの街に住んでいる芽衣子からしたら、一応、真央は中学時代はカッコイイって有名だったみたいだし。


私が訊いたら、真央は過去の恋愛を教えてくれるだろうか?過去を詮索させるの、嫌いそうだしな。ちょっと、怖い。


「そっか、それなら安心したー。同じバイト先でも結構、狙ってる子多くてさ。ちょっと、焦ってたんだよね」


そう言って笑うつばさんは、心からホッとした表情になった。


白い八重歯を出して笑う表情は、服装は男の子みたいでも、恋する女の子だった。


「焦ってるついでに、美雨にお願いしちゃおうかな?」


つばさんは姿勢を正すと、私の両手をウーロン茶の入ったプラスティックの容器ごと、包むこんだ。


「児玉と上手くいくように、協力してくれないかな?」


少し潤んだ大きな瞳が懇願していた。



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