フテキな片想い


「ありがとうございます」


カフェオレの入ったマグカップを受け取ると、玲央さんは彼の定位置である私の斜め前の席に座った。


「ママは?」


朝はバタバタして騒がしいママが、今日は不在だ。


「昨日、ちょっと興奮しちゃったみたいで、あの後、食べたもの全部戻しちゃったんだよね。ごめんね、食べてる時にこんな話して……今日、元々午前中は晴美さんの付き添いで病院に行く予定だったから、半休にしてあるんだ。さっき部屋を覗いたら、まだ気分悪そうだったから、そのまま寝てるよ」


「ママ、大丈夫かな?」


「一時的なものだし、仕事が忙しかったのもあるし、疲れてたんだろう。お店の人には晴美さんの体の事、言ってあるし、今日位はゆっくり休んで貰おうって思ってるよ」


「そっか」と頷き、カフェオレを啜る。


玲央さんの作る朝ごはんはいつも通りでおいしいはずのに、今日は何だか味気ない。


「……真央はどうしてる?」


フレンチトーストを切り分けながら、玲央さんが訊ねる。



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