フテキな片想い


「遠野くん、渾身の告白、痺れました!では、早速、告白の返事を訊いちゃいましょう!坂女の中瀬、中瀬美雨さんはどこにいるのかな?」


MCが蛍さんの隣に立ち、右手を額の辺りにかざし、きょろきょろと観客を見渡す。


「はーい。ここですっ!ここにいます!」


体育館の入り口近く、舞台から見て後方で手が挙がった。


実際、美雨の手を挙げ、「ここにいる」とアピールしていたのは、隣に立つ美雨の友達だった。


美雨は戸惑ったような顔で、舞台上の蛍先輩と、隣の友達を順に見た。


「井岡、行ってくれないか?」


俺はマイクを持つ井岡の背中を押す。「おぅ」と小さく頷き、井岡は人混みをすり抜けて、美雨の元へと向かった。


「あらあら、彼女が遠野くんの意中のお相手ですか?遠野くん、キレイ系の子がタイプなのかと思ってたけど、意外にベビーフェイスのカワイイ子が好きなんですね?」


MCのツッコミに「余計なお世話」と蛍先輩は、笑いながら反応する。


この和やかムードは何なんだ?最近は腹の奥に沈んでたイライラがまたこみ上げて来る。


「その告白、待った!」


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