閉じたまぶたの裏側で
雨に濡れても  



應汰からなんの連絡もないまま、あっという間に日曜の夜になった。

ここ最近はいつもなんとなく一緒にいるから、まったく会わないのも連絡がないのも珍しい。

昨日の朝、私が寝てるうちに何も言わずに帰ってしまった事も気になる。

どうしたのかなと気にはなるものの、ずっと友達だった應汰とあんな事をしてしまった手前、顔を合わせづらいのも事実。

應汰もそうなのかも知れない。

明日会社で会ったら、どんな顔をすればいいんだろう。

何事もなかったように、いつも通りにしていればいいのかな。





休み明け、月曜の昼休み。

社員食堂で應汰が同じ部署の同僚たちと食事をしているのを見掛けた。

なんとなく應汰の視線を感じたけど、少し離れた場所にいたし、気付かないふりをしてやり過ごした。


昼休みが終わる頃、應汰からのトークメッセージが届いた。


“今週は後輩の得意先についてまわるから、
仕事終わるの遅くなると思う。
金曜は営業部の飲み会があるから遅くなる。
もし早く終われそうなら連絡する。”


待っていろとも先に帰れとも言わないけど、待っていなくていいって事なんだろう。

わかった、とだけ返事をした。



避けられてるのかな。


ほんの少し、そんな気がした。








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