閉じたまぶたの裏側で
最後に会った時に“両親のところに行く”と私が言っていた事を思い出した應汰は、私たちの地元に足を運び、高校時代の記憶を頼りに私の実家に行ったのだが、そこは既に他の人が住んでいる。

應汰は手がかりを探して、私のいた経理部の人たちや仲の良かった同期に、私の居所を聞いて回り、ついには経理部の部長にまで詰め寄ったのだそうだ。

両親のペンションを手伝うと言っていたと部長から聞いた應汰は、その場所をまたいろんな人に聞いて回ったらしい。

その時勲が、両親は確か海辺の町でペンションを経営していると聞いた事があると教えてくれたという。

それは勲なりの、私に対する最後の優しさだったのかも知れない。

それから應汰は、高校時代の同級生にまでペンションの場所を知らないかと尋ねて回り、更にインターネットで海辺のペンションをいくつも検索したそうだ。

そして3日前、出先でコーヒーでも飲もうと入ったカフェで、若いカップルがタブレットでネット検索をしながら、このペンションは料理が美味しかったなどと話しているところに遭遇したらしい。

見ず知らずのそのカップルに思わず声をかけ、そのペンションはどこかと聞いてみると、カップルがこのペンションのホームページを見せてくれたそうだ。

ホームページに載っていた、客の送った写真に私が写っていたのを見て、やっと見つけたと思ったと應汰は言った。






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