おいしい時間 しあわせのカタチ


「佐希子さん、あの人、もしかして、今のあいつの彼女でしょうか」

「――おそらくねぇ。ああ、でもどうかしら。彼女がいるお店に知り合いを呼び出すのって、そんなに普通のことじゃないと思うけど――あ、すいません。お紅茶、もう一杯いただけます?」


 近くを通りかかった若いウェイターさんがすかさず紅茶のポットを持ってきてくれた。





「さっきはすみませんでした。途中で抜けてしまって」

「いいのいいの。それよりこれ、ありがとう。さっそくお店で食後に出してみるわ」


 佐希子は大上さんの会社が独自にブレンドしたという茶葉のパックを持ち上げてみせた。

 ここでしか売っていないという限定品で、定期的にフレーバーが変わるらしく、それ目当てで店に来るお客も多いのだとか。

 紅茶をいたく気に入った佐希子のため、大上さんが土産に持たせてくれたのだ。


「――そうだ、根岸」

「なんだ」

「あ、その……」


 なんだよ、と重ねて問いかけるが、自分から言い出したわりに大上さんの口調は重い。

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