おいしい時間 しあわせのカタチ
「佐希ちゃん、お茶もらえる?」
「はい、ただいま」
カウンターに戻り、洗い物を丹後くんに預けて、手早くお茶の仕度をする。
(また携帯見てる。試してるのね、ぼんくらな彼氏さんを)
と思いながら、手元の時計と見比べつつお茶を蒸らしていると、ふと視線を感じて佐希子は顔を上げた。
「いかがしました? ……もしかして、美味しくなかった?」
「えっ、い、いやいやいやまさか。そんなことはないですけど……その、ちょっと佐希子さんに聞きたいことがあって」
「いいですよ、なんでしょう。あ、でもちょっと待って」
人数分お茶を注いだ湯飲みを盆に載せて運ぶ。
「ありがとよ佐希ちゃん」
「いえいえ、何か他におつまみでもお出ししましょうか?」
どの皿もほとんど空になってしまっていると思い、水を向ければ、
「そうさなぁ、佐希ちゃんがそこに座って話し相手になってくれるってんなら考えようか」
「それなら年末の宴会、うちでやってくれます?」
「おやおや、しっかりしてるねぇ」
朗笑を背中に聞きながら佐希子はカウンターへと戻ると、
「で、話って?」
と佳織さんを促した。