おいしい時間 しあわせのカタチ

「え?」


 佳織さんの声に反応したふたりのうちの一人がカウンター席を振り返る。

 驚いた様子でこちらを見つめる佳織さんを認めると、


「小谷(こたに)さん」


 ちょっとすいません、と断って群れを離れ、彼女のもとへ向かった。

 ふたりはお知り合いなのかしら。


「――棚橋製作の方々なんですか?」


 ともあれ席に案内して、如才なく根岸くんが運んできた水やおしぼりの一式を配りながら、社長に聞くと、


「ああそうさ。うちが前から世話になってる、企業向けの家具を主に扱ってる会社。さっきのが佐野くん、んでこっちが松井(まつい)くん、それから――」


 名前ばかりのさくっとした紹介が終わる頃、佐野くんなる、いささかそばかすは多いがなかなか見栄えのする男の人が佳織さんを連れて戻ってきた。

< 34 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop