おいしい時間 しあわせのカタチ
佐希子はちらっと舌の先を覗かせた。
そのうち根岸くんたちがやってきて、ほんの一杯だけのつもりが、いつしかささやかな慰労会に発展していることに気づいたのは十一時をすこし過ぎたあたり。
半ば追い出すように三人を帰し、戸締りと火の始末をして家に帰り、布団に入る頃にはとっくに二時を回っていた。
いつもより一時間も遅い。
暗闇の中、目を閉じたまま、佐希子はしのび寄る睡魔をすぐそこに感じながら思う。
……誰だって――佳織さんの場合なら向き不向きではなく、合う合わないがある。それは別に身体だけに限った話ではない。
遠距離でもいい、携帯だけが互いをつなぐ媒体でもいいから――たしかにそこに愛があるという実感、彼の中にわたしの存在がまちがいなくあるという手ごたえを感じさせて欲しい、と。
それは、いけないことだろうか。
もっとも、そうじゃない恋愛の在り方を佐希子は知っているけれど――。