おいしい時間 しあわせのカタチ
(お茶に誘ってもいいものかしら)
もうとっくに陽は高い位置にあるけれど、その格好なら、できれば早いうちに家に帰りたいものだろうか。
判じかねて、
「首元寒くないですか」
と当たり障りのないことを返すと、佳織さんは、大丈夫、と言うように空いた手を振って見せた。
てっきりそのまま帰ってしまうものと思われたが、案に相違して佳織さんはとつぜん顔つきをあらためると、
「すこしいいですか?」
玄関に下りていくと、律儀に、門の外で佳織さんは待っていた。
入るよう促して、柿の皮が山になったままの縁側へと連れて行く。
「今お茶を用意しますね」
「お構いなく。――そうだ、一緒にエクレアどうですか」
袋から、二個セットになったミニエクレアを取り出して、佳織さんは笑った。
元から化粧の薄い佳織さんが、今はとくにすっぴんだからか余計に邪気のない笑顔に吊られ、佐希子もにっこりと笑い返す。